幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリズムの巨人―サルバドール・ダリ。宝飾デザインも手掛けたこの天才に心酔してやまない宝石チェーン社長が、神戸の別邸で殺された。現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が…。事件解決に立ち上がった推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生が辿り着いた意外な真実とは?!都市を舞台に、そこに生きる様々な人間たちの思惑を巧みな筆致と見事な理論で解き明かした、有栖川ミステリの真髄。
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有栖川有栖(ありすがわ ありす、本名:上原正英、1959年4月26日)は、日本の小説家・推理作家及び、有栖川有栖・創作塾の塾頭。大阪府大阪市出身。
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プロローグ
第一章 死の繭《まゆ》
第二章 カナリアと犯罪学者
第三章 助教授の現場検証
第四章 葬儀を終えて
第五章 雑踏の猟犬
第六章 最低の夜
第七章 真珠の目の女神
第八章 生者たちの繭《まゆ》
第九章 鳥《と》羽《ば》にて
第十章 きらめくもの
エピローグ
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「俺の顔に何かついてるか?」前を向いたまま彼に言われ、私は、「いいや」と答えて前方を向き直る。 「あんまり見つめるなよ。新婚ごっこはもう終わりだぜ」 私は溜め息をついて、心をこめてひと言ぶつけた。 「アホ!」
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