グラフィックデザイナーの斎木が取引先で紹介されたのは、画家として成功した幼馴染みの神成だった。斎木が羨望してやまない才能を持ち、今は亡き斎木の姉・朋と魂で_がっていた男。朋の死は斎木に罪の意識を、神成には斎木への憎悪を植えつけていた。そして死者が見える斎木の左肩には、今もなお朋がいるのだ。十年ぶりの再会は、斎木を過去に――まだ神成が斎木を慕い、姉が生きていた葛藤の日々へと引きずり戻していく――。
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「天才ね、天才。……まあ、だれでも天才って言葉に憧れるもんだけどなあ。……だけどな、天才って実際、つらいと思うぜ?だって、天から授かった才能ってことはさ、もとは神樣のもんだよな。神樣のものを、ただの人間がどう使うの。そんなやつはさ、人間らしい、まともな一生なんか、ぜったい送れないね」
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