高校最後の夏休み。「ある理由」から帰省せずに女子寮に残った七瀬は「死んだ女生徒の幽霊」の噂を耳にする。一方同じ居残り組の双子・日向と美夜子は男性教師・神崎が女性を撲殺する瞬間を目撃。狂気に満ちた神崎に追いつめられる少女たち。そのとき死んだ女生徒の親友と名乗るあかりが寮に現れ―。叙情的かつスリリングな、青春群像ミステリ。
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久美が視線をこちらに向けた。 「七瀬」 迷いのない目が、七瀬を見る。 「この地面の下には」 久美の人差し指の先が、七瀬の足元を指し示す。 「――空が広がってるんだろ?」
「百合ってちょっと苦手。なんかグロテスクじゃない?」 繭が小首を傾げ、目を細めて言葉を返した。 「そうかな?私はすごく好き」
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